シネマ庄七堂:~山小屋で調子にノッた大学生が殺される話~ 映画『キャビン』を観た

昨日は池袋で映画鑑賞。
上映前の予告で『シー・トレマーズ』っちゅうのがやってたんやけどどうもあの名作『トレマーズ』とは無関係で邦題としてつけられたみたいね。
まあ予告編の映像見る限りは「海のトレマーズ」で間違ってないんやけど。
そもそも『トレマーズ』って「陸のジョーズ」って設定が売りやったから「シー」にしたら一回転してそのまんまやで.....

さて、今回見た映画はこちら。。。

キャビン
監督:ドリュー・ゴダード
キャスト:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ


ストーリーは「大学生達が山小屋でのバカンスで恐ろしい目にあう」という至ってシンプルなもの。
大学生、山小屋、地下室.....
死亡フラグがアルペンスキーの"スラロームポール"のように立ちまくる。
冒頭だけを見れば"いかにも"なホラー映画。
ホラー映画のメソッドを丸ごと...というか教科書丸写しの設定。
もう一つの設定が無ければ冒頭20分で「映画館の席をそっと立つ」レベルの作品だろう。
勿論このメソッド丸写しは仕掛けであり、仕組まれたものだという事がオープニングではっきり提示される(ここを映画の中盤以降で種明かしするという手もあっただろうがそれだと「どんでん返し」だけの映画になってしまう)
"ある機関"によって何も知らぬ被害者達は誘導され予め用意された設定と巧妙に設えられた舞台で犠牲となる。
それらは逐一カメラで撮影され監視され放送される(ここの設定は曖昧で"ある機関"以外にこれをショーとして眺めている第三者ははっきりと劇中では語られないが機関ははっきりと「ショー」としてのエンタメ性を意識している。つまりは「ホラー映画ってのは実はこうやって撮っているんだ」と観客に思わせる仕掛けだ)
要は『どっきりカメラ』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』における「人間性クイズ」のホラー版だ(ただしリアルに死ぬ)
ここまで読んで頂いた方の中には『トゥルーマン・ショー』を思い起こした方も多いだろう。
僕は筒井康隆先生の『48億の妄想』を想起した。
もっとも筒井先生の作品は「至る所に仕掛けられた"テレビ・アイ"が国民を撮影しそれをショーとして放送する」という点は共通しているがさらに恐ろしくグロテスクなのはそれを国民自身も"知って"いてあまつさえ日常ですらテレビを"意識"し、自ら進んで"演じて"いるという点だ、放送される為に。
これが1976年に出版され尚かつ筒井先生にとってこれが処女長編だというのだから驚かされる。
既に文庫は絶版となっているが(隣の国とのアレやコレが話のキーになっているのでいま復刊は出来ないだろうな...)図書館でもいいしKindleにもあるみたいなので是非読んでほしい。



おっと!失礼。
話が幾分逸れてしまったが僕は自他ともに認め(られたいと願ってい)る「ツツイスト」なので許してほしい。

さてこの『キャビン』
よくもまあこんな「ホラー映画で殺されそうな」俳優をキャスティング出来たものだ。
ホラー映画特有の「死にそうなヤツが.....やっぱり死ぬ」という絶妙なキャスティング。
正直、それでホラー映画の4割は決まってしまう。
チャラい男&おっぱい要員の女(イチャつくことで観客の不快指数を上げていく重要な役割)
お調子者(マリファナ込み)
なんか良い奴そうな男(観客になんとなく「こいつは死んでほしくないな...」と思わせつつ死んだら死んだで「あぁ...やっぱりね...」と思わせる程度に感情移入"させない"キャラ)
それにヒロインの「どことなく幸薄そう」な顔も重要だ(『ラストサマー』のジェニファー・ラブ・ヒューイットとか良かったよね)
はっきり言ってキャスティングには9割方満足している(っつうかなんでこんな接点の無さそうな奴らが友達なんだ?という無粋なツッコミはなしで。そもそも全員大学生には見えません)
映画の前半はホラー映画の王道をシリアスにやりつつその舞台裏を差し挟むことでコミカルな脱臼した笑いを産み出している(ちなみに"ある機関"には日本支部もあって明らかに『トイレの花子さん』とか『学校の怪談』を思わせる学校が舞台の映像が流れる。日本のいたいけな小学生に本気で悪態をつくアメリカ人がこの映画での笑いどころの一つだ)
『最終絶叫計画』と違ってパロディ色は強くなくシチュエーションで笑わせる。
例えるなら『最終絶叫計画』がとんねんるずの『みなさんのおかげです』のコントだとすればこの作品はダウンタウンの『ごっつええ感じ』のコント的と言えるだろう。
後半になると舞台は転換しホラー映画の歴史における「化物」「怪人」「怪物」のショーケース(文字通りの意味でもある)
さらには「殺され方」の満漢全席。
理不尽に人が死んでいきそれが行き着く所までいくと荒唐無稽でさえあるという(筒井先生のスラップスティックなスプラッタ描写に近い所も)
ここの描写はキッチリとえぐいです。
ホラーに慣れていない方でも前半は大丈夫だったでしょう。
まあ、人は死にますがそこには"作為"があったし挟み込まれるユーモアが一種の緩衝剤になっていましたから。
ただ後半の無作為かつ理不尽に人が殺されていくシーンは僕の様なボンクラは「ウッヒョー!」と(モバマスの多田李衣菜ちゃんバリに心の中で)叫びたくなるところですが善良なる紳士淑女の皆様には非常にショッキングなシーン。
また設定に対しての細かい説明はなく(それを入れると2時間をゆうに超えてしまい、折角の『午後のロードショー』向きの作品なのにテレ東サイドが「編集で苦労してしまう」ので(笑)賢明だったと思いますが)
投げっ放しなところがあり。
オチに対しても「なんだそりゃ!?」と思われる方も多いでしょう。
img_620737_44762495_11.jpg
冨樫義博『レベルE』の"あの"シーン。

決して万人にお薦めする映画ではないかもしれません。
純粋なホラー映画ファンの中には拒絶反応を示す方もいるでしょう。
が、僕はまずこの設定自体を評価したい。
かといって「設定ありき」の映画というわけでもない。
コメディ要素が笑えるのもホラー描写がしっかりしているからこそだ。

この映画をお薦めしたいのは僕の様なボンクラと......
テレ東『午後のロードショー』上映作を選考している人だ!
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

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Author:庄七..
日記にはアルビレックス新潟、U-18年代、大学サッカー等の観戦記とプロレス、漫画、小説の感想等を中心に書いていく予定です。

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162cm / 52kg
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