2011年 庄七堂ブック・アウォード

もう来週には来年ですね。
そんなわけで今年読んだ本の中からジャンル毎にベストを選出。

☆庄七堂ブック・アウォード:SF部門☆

『火星年代記』レイ・ブラッドベリ
短評:既にクラシックとも言える一冊。
火星をテーマにした短編のオムニバス、だが短編同士が連なった連作でもある。
地球的なウェットと火星的なドライ(禅の思想とも通じる)が対になって語られていく。
特に火星に残る決意をした隊員と隊長の会話が秀逸。
ヴォネガットの『タイタンの妖女』でボアズが何故ハーモニウムと一緒に水星に残る決意をしたのか?
ヴォネガットは厭世観と異形のものとの(会話を介さない)結びつきを。
ブラッドベリは火星の文明と共鳴することで精神の充足を。
地球外の生命を通して精神とは?文明とは?を問いかけるのはSFの本質であり特色だろう。


『バトルランナー』ステーヴン・キング
短評:シュワちゃん主演の映画版『バトルランナー』を思い出す方も多いだろうが映画とはかなりテイストが異なる。
映画ではシュワちゃんがバッサバサ敵を薙ぎ倒しているが小説は主人公の"逃亡劇"に重きを置いている。
映画版はかなり設定、脚本、構成をいじっているので別物として読んだ方が良いだろう。
キングと言えばホラーという認識が一般的だがこの小説は近未来ディストピアものとして傑作と言える。


『霧が晴れた時 (角川ホラー文庫―自選恐怖小説集)』小松左京
短評:キングとは逆に日本SF界の大家として知られる小松左京先生の「ホラー小説家」の面を堪能出来る短編集。
収録作の「くだんのはは」はモダンな怪談の代表作。
そして「すぐそこ」のような"ループ系"の恐怖はドラマ『世にも奇妙な物語』を好んで見ていた方ならオチも含め納得の一作なのではないか。
また「黄色い泉」は小松先生がラヴクラフトから連綿と続く"怪奇小説"の継承.理解者であることを証明する"名状しがたい"恐怖に溢れた一話だ。


☆庄七堂ブック・アウォード:スポーツ本部門☆

『「 1対21 」 のサッカー原論 「 個人力 」 を引き出す発想と技術』風間八宏
短評:この本には著者自身のサッカー論、技術論、育成論が書かれている。
第1章のタイトルが、、、"「個人戦術」で掴む勝利への布石"、、、だ。
個人戦術とは「選手1人ひとりの戦う術」
この本では所謂「システム論」や「チーム戦術」「フォーメーション」には(恐らく、あえて)触れていない。
第1章では「どういう選手が「個人戦術」「個人力」が高いと言えるのか?」を解説している。
また、後の章で「どうすればそういった選手を育成出来るのか?指導するのか?」に繋がっていく。
この章の終盤はもっと年齢が下の子供たちの育成、指導に関してページを割いている。
これは指導者だけではなく親御さんにも読んで頂きたい一冊。


『ディナモ-ナチスに消されたフットボーラー』アンディ・ドゥーガン
短評:この本の秀逸な点はサッカーの話ばかりではなく、第二次大戦時のウクライナ史、当時の社会情勢、戦況等も織り交ぜながら実に丹念に書かれているところだろう。
また当時のフットボール史を知ることが出来るのも貴重な点だ。

「試合後選手達はピッチから連れ去られ、ユフォーム姿のまま射殺された」

これがキエフ奪還後に流布した「死の試合」として有名な伝説。
でもこれはソ連の(お得意の)プロバガンダだったようだ。
著者は元選手や試合の観戦者、キエフ市民らの証言を検証して結末は違ったものであったとしている。
その結末はここでは書かないが.....むしろ伝説よりも残酷で悲惨かもしれない。


『人生は3つ数えてちょうどいい』和田京平
短評:全日本プロレスのレフェリーとして長年マットを叩き続けてきた和田京平さん。
鶴田、馬場さんの死。そして全日本を離れて行った天龍、三沢。
まさに全日本プロレスの紆余曲折を団体の、そしてリングの上で見届けてきた。
この本の特徴は「悪人がいない」というところだろう。
全日本を離れた者達にもそれぞれ主義、主張があり事情がある。
和田さんは彼らに対して冷たく突き放したり、一方的に批判したりはしない。
なるべく彼らの事情を汲んで「何故?」を考察する。
その態度はむしろ「大らか」とさえ言える。
これを"全日イズム"とするのは安易だろうか?(現在の全日のことではない)
レフェリーとして、ジャイアント馬場さんの付き人として全日本を支えてきた著者の回顧録だけに歴史的資料としての価値も高い一冊だ。


☆庄七堂ブック・アウォード:漫画部門☆

『ばくだん!~幕末男子~』加瀬あつし
短評:ご存知『カメレオン』『ゼロセン』の加瀬先生の最新作。
幕末にタイムスリップした高校生が主人公。なんだかんだあって新撰組に入隊することに。
内容は「新撰組=男子校」という設定で結局やっていることは『カメレオン』と一緒だ(笑)
舞台が幕末でも下ネタ...いわゆる「加瀬節」は健在。


『黒色火薬時代』速水螺旋人
短評:モーニング2で『大砲とスタンプ』を連載中の速水先生。
『黒色火薬時代』は「MC☆あくしず」で連載中の作品だ(単行本はまだ出ていない)
黒色火薬、、、つまり先込め前装式の銃が全盛だった時代において戦争における銃器の役割、特徴などを漫画で説明していく。
マスケット銃に浪漫を感じる人は是非読んで頂きたい。
ちなみに僕はマスケット銃なら「フリントロック式」一択だ!!


『マコちゃん絵日記』うさくん
短評:新進気鋭のギャグ漫画家うさくん先生。
その才能は既に限られたフィールドには収まり切らない。
だが決して「このマンガがすごい!」と言ってはイケナイ。
関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

テーマ : 紹介したい本
ジャンル : 本・雑誌

コメント

Secret

プロフィール

庄七..

Author:庄七..
日記にはアルビレックス新潟、U-18年代、大学サッカー等の観戦記とプロレス、漫画、小説の感想等を中心に書いていく予定です。

1 GK(ゴレイロ)
庄七
162cm / 52kg
出身地:新潟県

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
庄七堂来訪者
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
人気ブログランキングへ google-site-verification: googlef56d18af04542310.html
人気ブログランキングへ