王子争奪戦其の二 ~高円宮杯U-18 プリンスリーグ関東・参入決定戦:昌平高校vs第一学院高校〜
プリンスリーグ関東参入戦。二試合目。
高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プリンスリーグ関東・参入決定戦
昌平高校vs第一学院高校

昌平は4-2-3-1
今年は埼玉県代表として選手権初出場を決めた。
監督は藤島崇之氏。
青森山田中学の監督から青森山田高校のコーチを経て07年から昌平の監督に。
第一学院は4-2-3-1
茨城県代表としてこちらも今年選手権初出場を決める。
旧校名は「ウィザス高校」
今日は「高体連の雷電」ことK氏と共に観戦。
当然選手権出場校同士の対戦であり氏の関心は高い。
氏は昌平をテレ玉の埼玉予選中継で見ていたそうで。
予選で全てが2点差以上の試合だったそう。
また、氏は青森出身ということもあり監督繋がりで昌平には俄然注目しているようだ。
博識な氏には青森山田とのスタイルの違いやサイド攻撃の意図。
またサッカーだけにとどまらず「ジバニャン」と「トゲニャン」の違いも説明してもらいながら観戦。
さて、試合。
前半22分、昌平の右サイドから篠崎亮くんが中央にカットインして真横に切り込みゴール中央からやや左まで切り込んだところでシュート。
これはDFにブロックされるもこぼれ球はPA内のエアポケットとも言うべきスペースへ転がる。
これを和田幹大くんが素早くモノにしてシュート。昌平先制。1-0

第一は木原英勲くんが左サイド粘ってボールをキープしながらドリブルでゴールライン際まで運ぶとゴール前へグラウンダーのクロス。
徳田京也くんがダイレクトで左足アウトサイドでニアに流し込もうとするもポスト直撃。
前半35分、昌平の野村祐一朗くんが右サイドでボールを受けると対峙するDFを最小限の動作によるフェイントで「ズラし」コースを「空ける」とインステップキックでボールを乗せ気味に放たれたシュートはファーのサイドネットに突き刺さる!
昌平追加点。2-0
若干縦回転がかかったシュートにGKは一歩も動けず。
GKの反射を凌駕したのはシュートスピードというよりも恐ろしくコンパクトに振り抜いたモーション。
上半身がほとんどブレず小さく少ない予備動作から放たれる強烈な一撃。
GKは構える間も無かった。

前半終了。
昌平が圧倒した前半。
サイドで数的優位を作る為の三人目の動き出し。
パスコースの為のトライアングル形成が実にスムーズで機能的。
ショートパスの精度と出してからの動き直しがしっかりパスの動作に組み込まれている。
ほんの数mの動きかもしれないがそれがコースを作るスペースを生む。

第一はちょっとプレスが緩い印象。
ボールの取り所、奪い所が掴めていない。
中盤ノープレッシャーで相手にやらせてしまっているかと思えばサイドで三人でボールを囲もうとして二人に躱されている。
局面局面で数的不利な状況に陥っている。

後半開始。
後半3分、昌平が右サイドから逆サイドフリーの選手にパスを通しシュート。
ポストに弾かれるがこぼれ球を拾った和田くんが右サイドからシュート並の速く強いグラウンダーのパスをファーサイドへ。
フリーの蛭間諄耶くんがファーに詰めて押し込んだ。昌平追加点。3-0
後半12分、昌平は左サイドで野村くんが受けるとカットインしてドリブルでPA内へ。
DFが大外刈りの如く足ごと引っ掛けてしまい昌平にPK。
キッカーはキャプテンの長里竜成くん。

コース左に落ち着いて決めた。4-0
4点差をつけた昌平はここから頻繁に選手交代。
参入戦はリーグ戦ではなくトーナメント。
大量得点差を考慮し中一日の大一番に備えてスタメンを休ませる冷静な判断。

第一は原田大雅くんが中盤から自力で持ち上がり昌平のDFブロックにアタックを仕掛ける。

後半ロスタイム、昌平の和田くんが右から中央へ入り込んできて左足で確実にゴール右隅のコースを狙うシュート。
足を振り抜かずにコンパクトにコントロールを重視したシュートはゴール枠内、GKの手がギリギリ届かないコースへ"収まる"様に決まった。昌平駄目押し。5-0
試合終了。
昌平高校が勝利。
23日にプリンスリーグ関東昇格を掛けて栃木SCユースとの対戦に挑む。
第一学院は不完全燃焼な試合内容。
ファーストプレスの位置、奪ってからのカウンター共に目的と目標が曖昧だった。
プレスにしてもボールホルダーを「見て」しまっている。
寄せるのか?リトリートするのか?
アクションまでにワンテンポ遅れてしまう。
局面局面での判断で昌平の後手に回ってしまった感は否めない。

昌平は期待以上、むしろこちらの予想を遥かに超えるサッカーを披露した。
プレスをいなすボールタッチの技術。
ショートパスの精度。
サイドで数的優位を作る二人目、三人目の動き出し。
全てがハイクオリティ。
松本泰志くん蛭間諄耶くんといった縦のSHに篠崎亮くんと小池真央くんの両SBが絡んでくる。
SHとSBが近い距離を保ちながらパス交換しそこに中央から和田くんや野村くんが流れてきてパスコースに「角度」を付ける。
大量得点の結果、中一日での栃木SC戦を見越してスタメンをある程度交代で休ませる事が出来たのは大きい。
昌平のサッカーに栃木のハイプレスが真っ向からぶつかるとどうなるのか?
非常に興味深く、また楽しみな試合になるだろう(仕事で観に行けないが........)
この試合の"SMVP"は野村祐一朗くん。
一得点とPKを獲得。
前線で張るだけではなくサイドに流れる事でアクションの起こせる選手だ。
自身の得点に繋がったのもサイドから。
裏への抜け出し、ドリブル、いずれでもシュートにまで持ち込んでしまう。
恥ずかしながら得点シーンでは一瞬目の前の光景が理解出来なかった。
自分の中の「育成年代」の常識を超えていた。
それほどのゴールだった。

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